東野圭吾 白夜行(1999) ★★★★★

桐原亮司と唐沢雪穂の2人を主人公とした話です。直接2人の心情等が描かれる事はなく,常に第3者の視点を通して話が進みます。とにかく暗くて重くて救いのない話がずっと続きます。不幸な生い立ちの2人が過去を隠すために次々に犯罪を犯す。彼らに関わった人間は全員不幸な結末を迎えますが,誰もそれが仕組まれたものとは気付きません。

主人公たちの心理描写がゼロなので,読者が想像するしかありませんが,とにかく絶望的に暗い話です。まさに,こいつの精神こそ暗黒空間だッ!こいつの心の中がバリバリ裂けるドス黒いクレバスだッ!といったところでしょうか。主人公たちの心理描写がないのもますますドス黒さを増しているのかもしれません。ミステリーやサスペンスというよりもサイコホラーといった方がいいのではないでしょうか。そのくらいとにかく冷たくて暗い話で,読後感も相当悪いです。それでも読む手は止まらないっていう。

もうかなり昔に読んだ作品になりますが,とても印象に残る傑作でした。とても長く分厚いけれども読み出せば全く気にならないと思います。mixiのレビューを書いたのはもう3年以上前ですが,当時のレビューでもドラマ版白夜行は未見なので今度ぜひ見てみたいと書いていたんですが,いまだに見ていません。別に避けている訳ではないのですが,きっと縁がないのでしょう。


白夜行 (集英社文庫)

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