東野圭吾 眠りの森(1992) ★★★★

加賀恭一郎シリーズの第2作です。非常に特殊なバレエの世界の,非常に複雑な人間関係のバレエ団で,殺人事件が発生。前作「卒業」ではまだ大学生だった加賀恭一郎が,警視庁捜査一課の刑事として登場し,この事件に挑みます。

前作では同級生の相原沙都子にプロポーズしてフラレていましたが,今回はバレエ団の新進気鋭のダンサー,浅岡未緒との恋が描かれています。その結末やいかに!?ってところで今作は終わっていて,その後の作品でも加賀の趣味がクラシックバレエ鑑賞と言っていたり,「新参者」ではこの事件の被告側の情状証人として出廷して所轄に異動になってしまったという事も触れられている事から,少なからずこの事件の影響がいろいろとあると思われるのですが,その後の展開は不明です。

卒業」では若さのためか若干冷淡さを感じる加賀でしたが,前作の苦い経験や,他の作品で明らかになる様々なつらい経験から成長したのか,今回はかなり優しさや人間味にあふれるあたたかい大人に成長しています。前作のようなガチガチのミステリーとは違い,この作品からただ単に事件を解くのではなく,どうやってこの悲劇で傷付いてしまった人間の傷を和らげていくのかという,現在の加賀恭一郎シリーズのベースのような作風となっています。


眠りの森 (講談社文庫)

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