海堂尊 極北ラプソディ(2011) ★★★★

極北クレイマー」の続編です。前作からの極北市での物語も,一応この作品で完結となっています。

前作「極北クレイマー」と同じく極北市民病院の医師・今中良夫を主人公とし,前作で財政再建団体に指定された極北市のその後を描いています。「ブラックペアン1988」「ブレイズメス1990」に登場した世良雅志が病院再建請負人として,極北市民病院の赤字体質を改めるべく院長に就任します。世良は極端な人員削減,救急患者・医療費踏み倒し患者の受け入れ拒否,薬剤費の削減等,改革を断行していきます。極度の合理主義で理路整然と進めていくやり方は非常に多くの敵を作ってしまいますが,「テレビ先生」と揶揄されるほどメディアをうまく使い,批判をかわしていました。そんな中,医療費踏み倒しの常連を診療拒否した結果,その患者が運悪く死んでしまいます。ここぞとばかりに世良院長が批判にさらされ,病院業務に支障が出る中,今中は「ジェネラル・ルージュの凱旋」で登場した救急医・速水晃一が飛ばされた極北救急救命センターへの出向を命じられたり,孤島の医療現場を見に行ったり…。様々な医療現場を経験する今中が出した結論は…?という話です。

前作「極北クレイマー」は非常に閉塞感が強く,読んでいてイライラせずにはいられない作品でしたが,今回の「極北ラプソディ」は,問題に次々ぶつかって解決(?)していく話になるので比較的スッキリ感はあります。

他にも「ジェネラル・ルージュの凱旋」「極北クレイマー」「モルフェウスの領域」など他作品との繋がりが随所に見られ,それらの登場人物のその後がいろいろ書かれているのも要チェックです。個人的には久しぶりに出てきた花房師長の出した結論がそれ!?というのがビックリでした。


極北ラプソディ2009 (講談社文庫)

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