伊坂幸太郎 マリアビートル(2010) ★★★★★

グラスホッパー」の続編です。前作と同様,ある殺し屋たちの話がそれぞれ展開され,次第に繋がっていくパターンです。

アル中の元殺し屋で重体の幼い息子の復讐をしようとする「木村」,全く異なる性格ながらも非常にやり手のコンビ「蜜柑」と「檸檬」の殺し屋「果物」,天使のような見た目に悪魔のようなどす黒い悪意の塊の中学生「王子」,「真莉亜」からの指示で動く極度のツキのなさに定評のある殺し屋「天道虫」など,物騒な業者たちがそれぞれの仕事や目的のためにたまたま同じ列車に乗り込みます。前作「グラスホッパー」と同じく,それぞれの視点の話が交互に進み,それぞれがだんだん交錯していく話です。

前作「グラスホッパー」でも,「」「」「槿」「スズメバチ」など,非常に個性の強い殺し屋たちがたくさん登場しましたが,今回もまた個性の強い殺し屋たちが多数登場します。殺し屋という非常に物騒な業者ながら常に冷静沈着で几帳面な「蜜柑」と,何よりも機関車トーマスを愛する非常に大雑把な「檸檬」の2人の掛け合いもおもしろいし,腕は確かながらもどうあがいてもアンラッキーな方に事態が転がってしまう「天道虫」こと「七尾」の受難もおもしろいです。お互いがそれぞれ交錯していき,それぞれの利害が衝突し,状況がどんどん悪くなっていく中,それぞれがどうピンチを切り抜け対処していくのか?読む手が止まりません。

この「マリアビートル」を読む場合は,前作「グラスホッパー」とセットで読むとなお良いでしょう。私も前作を読んだのはかなり前で忘れているのもあって,前作も改めて読み直しました。結構読んでいてムカムカしてくる部分もありますが,ラストも納得できるスッキリとした終わり方で,読後感もバッチリです。自信を持ってオススメできる作品です。


マリアビートル (角川文庫)

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