4人に1人「平均」分からず=ゆとり世代大学生―数学会調査

よくバカにされがちなゆとり世代ネタですが,この見出しを見た瞬間,いやいやいくらゆとり世代でもこれはないだろう,これは絶対ただゆとり世代を叩きたいがためのめちゃくちゃな調査結果のニュースだろうと思いました。

4人に1人「平均」分からず=ゆとり世代大学生―数学会調査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120224-00000127-jij-soci

いくらゆとり世代と言えども,いくらそのへんに合格証書が落ちてるような誰でも入れるような大学が増えていると言えども,いくら幼稚園児だかサルだかよく分からない人種を収容している大学もあるとは言えども,大学生全体で4人に1人が平均も分からないって事はないだろう…。ものすごく偏ったところからサンプルしているか,サンプルがとんでもなく少ないかのどちらかだろうと思いました。

で,その平均の問題がこちら。
http://mathsoc.jp/comm/kyoiku/chousa2011/surveyslip0955.pdf

ある中学校の3年生の生徒100人の身長を測り,その平均を計算すると163.5cmになりました。この結果から確実に正しいと言える事には○を,そうでないものには×を記入すること。

  1. 身長が163.5cmよりも高い生徒と低い生徒は,それぞれ50人ずついる。
  2. 100人の生徒全員の身長を足すと,163.5cm×100=16350cmになる。
  3. 身長を10cmごとに「130cm以上で140cm未満の生徒」「140cm以上で150cm未満の生徒」…というように区分けすると,「160cm以上で170cm未満の生徒」が最も多い。

答えは当然お分かりかと思いますので省略しますが(気になる人はリンク先の原文を見てね),てっきり,「3人がテストを受け,A君は100点,B君は80点,C君は30点を取りました。3人の平均点はいくつでしょう」みたいな問題だと思ってて,それで4人に1人が分からないのではなくてちょっと安心しました。もしそうだったらゆとり世代をもうこれからは心の底からバカにするのを通り越して哀れみしか感じないというか,ゆとり教育の推進者は万死に値するというか…もう頭がクラクラしてしょうがないというところでした。

この問題の書き方であれば,最近よく見かける多少日本語の能力に難のある人間であればちょっと問題が読めなかったり慌てたりして失敗してしまう可能性もなきにしもあらずでしょうし。しかし,それでもこの程度の問題は解けていないと,確かに「平均を理解できていない」と言わざるを得ないでしょう。「偏差値50以下の私立大グループは51.2%。理工系学生でも82.0%にとどまった。」とありますが,本当に理工系学生などと名乗る人間が82.0%しか理解していないのでしょうか。偏差値50以下の理工系学生だと82.0%しかできていないという意味でしょうか…。私も理工系のはしくれとして,小学校で習う平均を,数学に1ミリもついていけずに挫折して文系に逃げてそれ以来数学に1ミリも触れていないような文系の大学生ならまだしも,常に理数系に触れなければならない理工系の大学生が理解できていないというのは,ちょっとにわかに信じられないのですが…。

いわゆるお受験的な問題じゃないと解けないとか,中身を理解していないとか,ゆとり教育が悪いとか,そういう問題じゃない,それ以前の問題だ,と個人的には思うのですが…。これができない人は,別にゆとり教育だろうが詰め込み教育だろうが何を受けたってできないのでは,個人の資質では…という気がしてなりません(ど忘れしてた人とかは別として)。

この結果をただゆとり世代を叩くだけのものとせず,これからの教育を受けていく新しい世代やゆとり世代のためにどうフィードバックしていくのか,ゆとり世代がこれからの苦境の次代を背負って行くに備えてこの結果をゆとり世代にどうフィードバックするのか,ゆとり世代の失敗を繰り返さないためにこれから教育を受ける世代にはどういった教育をしていくのか…。きちんとこの調査結果を建設的なものとして生かして欲しいものです。

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