大学生5人の青春小説です。伊坂幸太郎の作品の中では「重力ピエロ」に引き続いて2番目に読んだ本です。これも伊坂作品の中では私の中の1番か2番です。
大学生が入学してから卒業していくまでを描いた話ですが,くだらない平凡な毎日から非常にヘビーな事件まで,楽しい学生生活でいろんな事を経験する,いかにも「青春」なドラマです。スッキリしていて読後感もよく,本当にさわやかな青春小説です。
タイトルの「砂漠」というのは,大学を卒業した後の社会を意味します。「砂漠」に囲まれた大学生活という「オアシス」に主人公たちはいる訳ですが,この話に登場する学長の卒業式の言葉である
「学生時代を思い出して,懐かしがるのは構わないが,あの時は良かったな,オアシスだったな,と逃げるようなことは考えるな。そういう人生を送るなよ」
というのは,もう大学生活よりも今の社会人生活の方が長くなってしまった自分にも,戒めておきたい言葉です。
この伊坂幸太郎はテンポよくサラサラ読める,というのを理解し,他の作品も読んでみよう,と思うきっかけとなった作品でした。大学入学前の人が読めばきっと大学に行きたくなる,そんなパワーをもらえる本だと思います。なので,もし高校生とかでこれを手に取った人は一度読んでみる事をオススメします。私も願わくば高校時代にこれを読みたかったなあ,と思わずにはいられません。