「ジーン・ワルツ」の続編です。今回は代理母がテーマ。「医学のたまご」の主人公の出生の秘密にもリンクしています。
「ジーン・ワルツ」では産婦人科医療に対する政治への怒りが前面に押し出されていましたが,この「マドンナ・ヴェルデ」は代理母をテーマに,代理母視点からの感情をメインに押し出した物語です。「ジーン・ワルツ」の代理母視点版小説です。
前作主人公の産婦人科医師・理恵の代理出産を理恵の母であるみどりに託しましたが,代理母についての法整備の遅れに対し,ひたすら合理的,論理的に準備を進める理恵。その命を命とも思わないような冷酷なまでの合理主義に反発を感じずにはいられないみどりとの戦いが描かれています。
本当の母親は一体誰なのか?代理母制度というテーマへの様々な問題提起がなされた,読者にいろいろ考えさせるいつもの海堂作品となっています。