今度は秘密結社「フリーメイソン」をテーマにしたダン・ブラウンのサスペンス小説です。ロバート・ラングドンシリーズの第3作です。
「天使と悪魔」「ダ・ヴィンチ・コード」に引き続く,ロバート・ラングドンシリーズの第3作です。今度は秘密結社「フリーメイソン」をテーマに,「古の神秘」をめぐる謎解きと,人質となった旧友のピーター・ソロモンを救うためのスリル満点のサスペンスが同時かつスピーディに進んでいく,これまでの2作と同様の作品です。
が,個人的にはこれまでの2作と比較すると確実に読む手が進みませんでした。まず,最初の方のいつもの宗教や美術や建造物に関する薀蓄は,これまでの2作はヨーロッパが舞台で結構なじみがあったのが,今回の舞台はワシントンなのでちょっとよく分からなかったのがあるかもしれません。でも,よく分からない人を引き込む力がこれまでの2作に比べてなかった気がします。また,今回はマラーク(悪霊)という人が犯人なのですが(別に最初から出てるからネタバレではないですよ),正直読んでいる途中でマラークの正体が分かってきてしまって,正体が判明した時もどんでん返し感をあまり感じませんでした。しかも,そのマラークの犯行動機も,ほとんど被害妄想全開でしょぼい…。で,ひた隠しにされてきた「失われた神秘」も…うーん。何かもやもや。私の知性が足りないからでしょう。また,あまり宗教に縁が薄い日本人にはあまり理解や納得ができないのかもしれません。犯人・人質探し~犯人が判明するまではジェットコースターのサスペンスとして単純に楽しめるので,この作品はそういうものだと割り切って読むくらいがいいのかもしれません。
この3作目の「ロスト・シンボル」は2012年くらいから映画化すると言ってた気がしますが,まだしてませんね。このシリーズの映画は酷いので,全く期待していませんが,傑作を映像化しても微妙なのしか作れないのだから,微妙なものを映像化したら…。
今,この前出た4作目の「インフェルノ」を読んでいますが,こっちはなかなかいい感じです。新婚旅行で行ったフィレンツェが舞台で,イメージがよく湧きます。