東野圭吾のガリレオシリーズの長編です。
犯罪を犯してしまった母娘。その母に恋してしまった天才数学者石神が,いい言い方をすれば献身的に,悪い言い方をすれば勝手に,一方的に助ける話です。
普通,共犯でお互い面識がないっていう場合はすぐにどこかからボロが出て真実が露呈してしまうものですが,この天才数学者石神はほぼ全ての可能性を計算し,母娘が普通に振舞い,普通に質問に答えるだけで容疑者から外れてしまうような舞台を作り上げてしまいました。私も結論を読むまでそのトリックに全く気付きませんでした。読んでる途中も「あれ?なんでアリバイあるの?あれ?」と,どんどん先が気になって読み進めてしまいました。
ラストは,恐ろしいほどの自己犠牲の2重のトリックを仕込んであったんですが,もっとこんな犯罪なんて事ではなく,他の形で彼には実現して欲しかったな…と,読後感はかなり切なくなりました。
その後,映画版も見ました。堤真一はどう考えても男前過ぎだろ,と思わずにはいられませんでしたが,見終わってみたらまあこれはこれでいいか,と。福山のドラマのガリレオはほとんど見ていないのですが,再放送がやってれば見てもいいかな,とも思いました。