「無痛」の続編です。「新型カポジ肉腫」と呼ばれる謎の奇病が日本を襲う中,様々な人物の暗躍や組織の陰謀などが描かれている医療サスペンスです。為頼や菜見子,白神やイバラなどの「無痛」のキャラクターも引き続き登場します。
これまで世界でいろいろな疫病が流行しては来たものの,そのどれにも当てはまらない,感染源や治療法も全く不明の奇病「新型カポジ肉腫」が日本で発生。実はそれはある組織による恐ろしい陰謀により引き起こされたものだった…!というようなこれまでと同様の医療をバックグラウンドに置いた医療サスペンスです。
「無痛」の続編ですが,登場人物の説明も軽く,読まなくても分かるような配慮もあまり親切にされているとは言えないので,読んでない人は「無痛」を読んでからこの本を読んだ方がいいです。でも読んでも,思い入れとかも全部知ったこっちゃねえみたいな感じで過去の登場人物いきなり発狂したり壊れたりするのがちょっと悲しいのを通り越してポカーンとなっちゃいます(ちょっと性格や精神がちょっと病んでる人が多いとはいえ)。また,相変わらずこの人の病気や事件の描き方はグロいので,受け付けない人は受け付けないかもしれません。とはいえ,あの「無痛」のイバラが出所してどうなったのか,彼の精神状態でこういう事を考えながらこういう事をしてたんだ,というのはしっかり説明されるので,やっぱり読んで後悔するような本ではない事は確かです。
ラストは医療の知識がない自分にとっては,こんな事ありえねー!と笑い飛ばせる内容なのか,こんな事が起こり得るのかなんて恐ろしいんだ!と震えるべき内容なのか,全く判断が付きませんが,相変わらず全くのハッピーエンドではない,ダークな終わらせ方をしています。最後まで読んでやっと小説のタイトルの意味が分かります。
第五番
久坂部 羊