BMW X3を試乗してきた

マツダに引き続き,次の愛車候補の1つである,BMWのX3を見に行ってきました。

X3はBMWのクロスオーバーSUVのラインナップの1つで,X1とX5の中間の位置付けになります。

X3は17年10月に3代目にフルモデルチェンジ。3シリーズがベースだった先代から,5シリーズベースとなり,ちょっと大型化しています。ただ,その分内装や装備が大幅にグレードアップしています。

エンジンは,2Lの4気筒ガソリンターボ「20i」,2Lの4気筒ディーゼルターボ「20d」のラインナップからスタートし,現在は3Lの6気筒ガソリンターボ「M40i」と3Lの6気筒ディーゼルターボ「M40d」,そしてPHEVの「30e」までラインナップされています。売れ線は2Lのディーゼルで,素の20dの他にはX LineとM Sportというグレードもありますが,多少デザインや意匠が変わる程度で,値差もほとんどありません。

私が試乗したのは,私も検討しているのと同じ20d M Sportというグレード。3月の自粛前に街乗りで1回,自粛から明けた5月に高速試乗をさせてもらいにもう1回お邪魔しました。ものすごく広くてキレイだし,ピカピカに磨かれたBMWの展示車がいっぱい並べてある大きなショールームで,BMWのディーラーなんて行った事がなかったので非常に緊張しました。

という事でインプレッションです。

■エクステリア(デザイン,質感)
実際に車を見てみると,かなりデカい!全長4720mm,全幅1890mm,全高1675mmとあり,CX-5と比較すると全長が175mm,全幅が50mm大きく,全高は15mm低い。今まで私が所有した中で一番大きかった159と比較しても,全長が30mm,全幅も60mmデカい。

エクステリアのデザインはいつものBMWで,BMWのエンブレムもあるし,キドニーグリルもあるし,ホフマイスターキンクもある。質感は別に悪くはないのだけど,正直言ってデザインは地味でそこまで特別感はない。これがドイツ車なんだと言われればそうなんだろうけど。

私はだいぶ調べて今はパッと見て差が分かるようになりましたが,正直一般ピーポーはX1やX5と何が違うか分からないだろうし前や後ろを走っているコレがX1なのかX3なのかX5なのか判別できないはずだ。白いX3になんか乗ってたら煽り運転!(X5です)って思われるかもしれないし,X1の内装や装備がどれだけしょぼいかも普通の人には分からない。全部一緒に並べればサイズが全然違うから分かると思うけど。もう少しいろいろ差別化した方がオーナーは喜ぶのでは…。

あと,一番嫌だなと思ったのが,大きなキドニーグリルからラジエータの間に左右対称の2本のシルバーのパイプ(構造部品)が丸見えで,まるで鼻の穴から鼻毛が見えているかのように…。調べてみると,どうやらM40dだけはグリルシャッターが付いていて見えないようになっているのが,日本仕様の20dはグリルシャッターが省かれているためみたいです。省かれたなら省かれたで見えないように黒く塗装したりすればいいのに。と思ってたらやっぱり,BMWの他のモデル(しかもX3よりも車格が下でも)はちゃんと塗装してあるモデルもある。この価格帯の車で明らかな手抜きでガッカリですね。

■インテリア(シート,フロアカーペット,内張り,合わせ部等の質感)
BMWのインテリアというともう質素と言う他なくて,プラスチック丸出し,インパネはオレンジ一色。いくらエンジンが良くてもこれはないよな…と以前からずっと思っていました。

しかし,この世代からはかなり変わりました。アルミや本杢のパネルやガルバニックのスイッチパネルが随所に使われていて,中央には10.25インチのコントロールディスプレイ,メータも液晶のメータパネル,ヘッドアップディスプレイもあるし,エアコンのパネルもオレンジオレンジしてない。まるでBMWじゃないみたい。

質感に関しては全く文句なし。今回の愛車候補の中では一番装備も充実していて,X3にある装備がこの車にはないというものはあっても,その逆はない。「エンジンや走りはいいんだけど…」と敬遠していた人も,これなら迷いなくBMWを選べますね!パノラマサンルーフも付けたら最高だと思います!ただ,値段はとんでもなく上がっていますが…。

そんな弱点のないインテリアですが,あえてムリヤリケチをつけるのであれば,デザインは非常に実用的で遊びがなく,イタフラ車のような華やかさはないって事くらいでしょうか。

■操作性(ノブ操作力,スイッチ配置,物入れ,シフトフィール,ラゲッジルーム)
イタフラ車のようにデザイン優先すぎて使い物にならない物入れやドリンクホルダーなどのものはなく,物入れやスイッチはあるべきところにあり,ちゃんと使えるようになっている。国産車みたいにちゃんと便利に作られている。これがドイツ車なのか…。ラゲッジも550Lもの容量があって,今回の愛車候補の中では最も大きく,しかも床下に収納まであって,トノカバーをしまうスペースまであったのは今回の候補の中ではX3だけでした。
■乗降性
これはCX-5と同程度イイです。昔のよじ登って乗り込むような本格的なクロカンみたいにとかとは違って,こういうクロスオーバーSUVみたいなのは割と普通のセダンとかに乗り込むような感じですんなり乗れます。それでいて車高が高いから何かちょっと不思議です。
■居住性(室内広さ,シート座り心地,後席居住性)
やっぱり車が大きいだけあって,室内も十分広いです。リアシートも車体が大きい分CX-5よりほんのちょっとだけ広かった気がする(並べて比べた訳ではないので気のせいかもしれないけど)。試乗車はM Sport標準のスポーツシートだったけど,これもすごく気に入りました。レザーではないけどバッチリフィットしてサポート性が高くてすごくスポーティに感じてかなり気に入りました。使用感だけなら今回の候補の車の中で一番でした。オプションのヴァーネスカ・レザーシートも写真で見る限りはよさげです。
■視認性(フロントの見切り)
これもやっぱりこのテの車は視線が高くてフロントの見切りは良いです。これまで比較的車高が低い車に乗ってて,それが地面にへばりつくみたいで好きだったんですが,車高が高いのも気分が良いですね。ミニバンやSUVで勘違いして気が大きくなってるヤツがいるのも分かる気がする。
■動力性能・ドラビリ(パワー,ギヤ比)
CX-5と比較すると,X3の方がスポーティでラグジュアリーでイイ車に乗っている感じがしました。また,1回目に街乗りで試乗した時と,2回目に高速で試乗した時でちょっと違う感想を持ちました。街乗りした際は,ゼロスタートから豊富なトルクで60~80km/hくらいまでは十分に加速できて,ああ,これがBMWのディーゼルか,すごくスムーズに回るし全く問題ないな,これで燃費も良いとか最高だなと思っていました。で,高速では,確かに合流もラクだし,ゆったり流すには十分なんですが…。私個人的にはもう少しキビキビ走らせられたらいいのになぁと思ってしまいました。やっぱりディーゼルのおおっ!っていう加速って一瞬だよなあと。大トルクではあるけれどもすぐ頭打ちになってしまって回す楽しみはないし,音も官能性は全くない。もう少し高速域でも息の長い加速が欲しいなあと思ってしまいました。そういう人は燃費を諦めてガソリンエンジンを選べばいいのかもしれませんが…。
■燃費
燃費はディーゼルだけあってすごくイイです。カタログ燃費ではJC08で17.0km/Lで,私調べでは実燃費は13.24km/Lくらいであろうと出ました。私としては10km/Lあれば十分ですが,別に燃費が良くて困る事なんて何もないですしね。
■操安性(ステアリング重さ,戻り)
ステアリングが結構太いなと思いましたが,適度な重さです。昔のドイツ車と違ってやたら重い!って事はないですね。
■乗心地(ゴツゴツ感,シート硬さ)
試乗したファーストインプレッションは「メチャメチャいい車乗ってる!」感がすごかったです(いや実際メチャメチャいい車なんですが)。何と言うかしっとりしているというか。比較的SUVらしい乗心地に感じました。段差を乗り越える時とかはちゃんとゆさゆさ揺らされるし。BMWなのでもうちょっと硬めかと思いましたが,スポーティではあるけれども多少ラグジュアリーに振っているように感じました。
■振動(アイドル時振動,低速時振動,ビビリ音,ステアリング振動,シフトレバー振動)
全く問題なし。アイドリングストップから復帰する時ディーゼルを気にする人は気になるんでしょうか?私は全く気になりませんでした。
■騒音(遮音性,こもり音,風切り音,エンジン透過音)
ディーゼルだけど,車内では十分静かです。車の外に出ると明らかにディーゼルの音してますけどね。CX-5と比較すると,車内の静粛性では負けていると思いますが,CX-5が静かすぎるだけのような気がします。どちらでもディーゼルと言わなければ分からない・気付かない人も多いのではと思います。ただしCX-5は6ATでX3は8ATなので,高速での静粛性は逆転すると思います。遮音もバッチリされていて,外からの音も侵入してきません。
■制動(効き,踏み応え,ストローク,踏力)
BMWはブレーキにお金をかけないという話をよく聞きますが,このX3についてはフィーリングは自然で特に問題ありませんでした。

そんな感じで車としては気にいるところも気に入らないところもあり,総合的には気に入りました。ただ,値段はとんでもない値段なので,とても新車は買えません。買うなら新古車や中古車で,それでも私にとっては高いのでかなりの覚悟を持って選ばねばなりません。

あと,今回BMWのディーラーに初めて来て,その実際の値付けにビックリしました。定価はとんでもなく高いのに,未使用車や中古車がビックリするくらい安い。

新車の値引き額とか,未使用車だと「登録3か月くらいなのにそんなに落ちるの!?」ビックリするくらい安くなるし,中古車も2~3年落ちの2~3万km程度しか走っていない車でも新車の定価を考えればビックリするくらい安い。マツダ車もビックリの値引きっぷり。これで買っちゃえ!ってやっちゃう人も少なくないんでしょうね。

こんなに値下げや値落ちがあるなら,新車で買うのなんてバカバカしすぎて買う人いなくなるのでは?と,私としてはちょっと思っちゃいましたが。


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