東野圭吾 さまよう刃(2004) ★★★★

少年法と復讐がテーマの,非常に社会派色の強い作品です。妻にも先立たれ,大切に育ててきたたった一人の娘を全く更生の余地のない未成年のクソガキどもに蹂躙され殺された父親の復讐の話です。

少年法に守られ,反省という言葉を知らない昨今の少年犯罪に対して被害者視点で書かれた非常に重い話です。登場人物の心理に重点をおいて書かれており,いろんな事を考えさせられます。人を殺すのはいけません,遺族に裁く権利があるのか,こんな奴を更正させられるのか,更正させる価値があるのか,被害者は泣き寝入りしかないのか,果たして自分たちが同じ立場に置かれた時,一体どういう行動を取るのか?

とにかく重いし訴えるものがあって,読んだ!って感じの濃い内容の本でした。最後がもうちょっと救われるラストはなかったのかとは思いましたが,なかなか他にはいい終わり方は自分でも思い付きませんでした。非常に後味の悪い終わり方で納得もあまり行かないラストではありましたが,十分世界に入り込めて読めたのでそこは満足でした。

現実にもこういう事件がいつも起こってる以上,自分がいつ巻き込まれないとも限りません。たまにはこういった考えさせられる作品を読むのも良いのではないでしょうか。


さまよう刃 (角川文庫)

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