「ゴールデンスランバー」と同時期に書かれ,「魔王」の50年後の世界を舞台とした,かなり分厚い長編小説です。「検索から,監視が始まる」というキャッチコピーの通り,検索によって管理されたシステムによる恐ろしい国家の話です。
今日のネット社会では,分からない言葉があればとりあえず検索,みたいな人が少なくないと思いますが,この「モダンタイムス」の世界でもそれは同じ。しかし,あるキーワードの組み合わせを検索してしまった人が死んでしまったり,社会的に抹殺されたり,拷問にかけられたり,とにかく恐ろしい目に遭ってしまいます。そう,この「モダンタイムス」の世界では検索システムによって特定のキーワードを監視し,危険人物を特定するシステムが国家によって構築されていたのです。
システムエンジニアである主人公の職場の人間が意図せずそのシステムの一端に触れてしまった事により,姿を消します。その仕事を引き継いだ主人公がシステムに気付き始め,様々な事件や陰謀に巻き込まれていく…というようなお話です。
これも「ゴールデンスランバー」と同じように,なかなかハラハラさせられ引き込まれる話ではあるんですが,後半失速しているのも同じでした。伏線も回収されないし,しまいには超能力まで出てくるし,ここまで分厚くする必要性に疑問を感じました。