前回の続きです。この旅行も4日目に入りました。トスカーナの中心,ルネッサンスの宝庫,花の都フィレンツェからついに去る時が来ました。
朝8時にホテルを出発し,まずはバスで小高い丘のうねうねした道を登って行きます。フィレンツェの街並みを一望できる,ミケランジェロ広場へ向かいます。ミケランジェロ広場へは歩いてでも行けるそうですが,30分くらいかかるそうです。時間がもったいないのでバスかタクシーがいいと思います。
で,ミケランジェロ広場に到着。ミケランジェロ広場自体は特に何がある訳でもなく,ただだだっ広い広場となっているだけですが,中心にはダビデ像のレプリカがあります。シニョーリア広場のものとは違って,銅製です。
広場から見たフィレンツェの街はこんな感じです。サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂や,ジョットの鐘楼,ヴェッキオ宮殿,ポンテ・ヴェッキオ,サンタ・クローチェ教会など何でも見えます。ジョットの鐘楼からの眺めとはまた違いますが,これもよしです。このミケランジェロ広場からの眺めは,夜景も良いらしいです。フィレンツェの教会や端のライトアップが美しいらしいのですが,残念ながら今回は行く時間的余裕がありませんでした。
ちょっとフィレンツェの街方面から視線を外すと,森,森,森で家はまばら。イタリアだけに限った事ではありませんが,街と外の境界がハッキリしていて,メリハリがありますよね。どこからどこまでが街なのかハッキリ分かる。というより,日本が特殊なのか。例えば東京から南や西の方に向かって移動していったとして,やっぱり家がたくさんどこにもかしこにもあって,あれ?どこから神奈川?とか看板がなかったら分かりませんよね。日本は国土が狭いんだからしょうがないか,とも思いましたが,イタリアとそう変わらない…というか調べてみたら日本の方が広いんですよね。不思議です。
そんな事を思いながらも,花の都フィレンツェともお別れです。ヴェネツィアなどと比較するとこの好天の影響も少なからずあると思いますが,今回訪れたイタリアの街の中では,このフィレンツェの街が一番好きだったかなあと個人的には思っています。赤レンガの美しい街並みや教会等の建築物…これはきっと一生忘れないでしょう。再び訪れる事ができれば…今回行けなかったところも,一度行ったところも歩き回ってみたいと思います。
という事で8時40分頃,フィレンツェを出発。次の目的地は永遠の都,ローマです。
またバスでの移動となります。再びアウトストラーダをひたすら走るのですが,ヴェネツィア~フィレンツェの話でほとんど触れていなかったのでこの高速道路の写真も載せておきます。
こんな感じで3車線で広いです。制限速度も130km/h。最近だと新東名はこんな感じですごく走りやすかったんですが,日本もすべての高速道路をこうすればいいのに…。まあ新東名の制限速度は全然違いますけどね。でもこのアウトストラーダを走ってる車を見ていると,明らかにイタリア人は制限速度守ってませんでしたけどね。スピードメータは見てませんでしたが,だいたい大衆車みたいな車でも走ってるのは,160~180km/hってとこでしょう。いいなあ。楽しそう。明らかに200km/h以上出てるポルシェやBMWのM3やM5,7シリーズ,メルセデスのSクラスとかもたまにいました。それが違法だとか法的・道義的問題は置いといて,ハイパフォーマンスマシンやスポーツカーの性能をしっかり堪能できる環境があるって,自動車の技術者としてはうらやましい限りです。日本じゃあ絶対に無理だな…。と言っても,それ以前に私にはまずその車を用意できるお金がないんですけどね。あと,抜き方がかなり荒っぽいですね。「え,その隙間割り込んでくの?」って思わずにはいられないくらい,自動車1台分でも隙間があったらそこから抜いてくんですよね。しかも全然ウインカーも出さない人ばかり。これでぶつからないのかよ,と思わずにはいられませんが,やっぱりぶつかるみたいですね。ちょっとくらいへこんだりぶつけたりしても気にしない国民性のようです。私だったらちょっとでもこすったりぶつけようものなら激しい後悔と自己嫌悪のあまり三日三晩寝込むかもしれません。イタリア人の運転恐るべし。
そういえばアウトストラーダとは関係ないけど,やっぱり自動車の技術者として,イタリアではどういった車が走っているのか?という事に関して,もちろん興味もあるし,どうしても見てしまうんですよね。私も欧州車はやっぱり好きなので,本場の走っているものを見られてテンションがあがらずにはいられませんでした。やっぱりイタリアだから,アルファロメオやフィアットが多いのかと思いきや,全然そんな事なかったのが驚きでした。私の見た感覚では,
- イタリア車2割(アルファ6割,フィアット4割くらいのイメージか?イタリアだからといってフェラーリやランボルギーニ,マセラティが多いなんて事は当然なく,そんな車はまず走ってませんね。)
- ドイツ車2割(VW,BMW,MB,audi,どれかが突出して人気という事はなく,全部バランスよく走ってたように思う。オペルも結構走ってた)
- フランス車2割(ルノー,プジョー,シトロエンがほとんど。シトロエンだけ若干少ないか。ルノーはクリオ,メガーヌが人気みたい。)
- スウェーデン車2割(ボルボがほとんど。それもV50とV70がほとんどじゃないか?サーブも走ってる事は走ってる)
- 日本車1割(日本車はやっぱりマツダが多いか?ヨーロッパで大人気!みたいなイメージがあるけど,そんなにぶっちぎりで多くはなかったですね。私の愛車であるアクセラもちゃんと現地のmazda3の名前をつけて結構走ってました。アテンザ(現地ではmazda6)も多かった。トヨタ,ホンダ,日産,三菱,スバル,スズキ,ダイハツも全部見ました)
- アメ車1割(アメ車はあまり走ってなかったですね。フォードやシボレーの普通の車ばっかで,マッスルカーは全く見ませんでした。やっぱりヨーロッパだと法規が厳しいのかな?)
のような印象です。総括すると,本当にハッチバックが人気ですね。6割くらいはハッチバック(もしくはステーションワゴン)のような気がする。残り3割はセダンで,1割はクーペやその他。すばらしいですね。日本ではほとんど空気しか運ばないくせにミニバンとかの無駄に図体のデカイ車ばかり走っていて,前の前の車が非常に見にくくて不愉快極まりないですが,このイタリアの環境はすばらしいですね。エコだの燃費だの何だの言ってんだったら無駄にミニバンみたいな重い車乗ってんじゃねーよバカ野郎と思わずにはいられませんね。この小さい車大好きなヨーロッパの人の精神を見習って欲しいですね。
ほぼ100パーセントMTなのは有名ですが,それとやっぱりディーゼルが多かった。エンジンルームを1台1台開けて確認した訳ではないですが,外観や音から判断しても,半分くらいはディーゼル。日本ではディーゼルといえば石原のジジイのパフォーマンスのせいで壊滅的に普及してませんが,もう今はあんなパフォーマンスの時のような黒鉛を出すディーゼルエンジンではないという事を,あの石原のジジイは全く周知しないのが非常に腹立たしい事ですが…。
だいぶ脱線したので,アウトストラーダの話に戻ります。アウトストラーダにはサービスエリア的なものもあって,オートグリルというのがあります。簡単な食事が取れるレストランや,お菓子や飲み物とかいろいろ売ってます。
オートグリル内にあったイタリアの公衆電話。何か日本のものよりちょっと未来的なデザイン?
オートグリルだけではありませんが,こういう便座がないトイレがイタリアには結構あります。「イタズラされて壊されたら直すのが,汚れたら掃除するのがめんどくさいな…そうだ!じゃあ初めから取っ払っちゃえ!」っていうのがイタリア人のメンタリティのようです。どうやってするのかというと,中腰でやるみたいですね。日本から除菌シートかなんかを持ってって,それを敷いてやるのもいいかもしれませんが,せっかくイタリアに来たのであればイタリア式に中腰でやってみてはいかが?私はこの便座のないトイレで大をする機会はなかったんですけどね。
そんなオートグリルでちょいちょい休憩しながら,アウトストラーダの牧歌的な田園風景を眺めながらローマに向かいます。途中,オルヴィエートという崖の上に作られた,かつての要塞都市も見えました。ああいうところも行ってみたいですが,今回の旅行では残念ながらその時間は取れませんでした。
高速鉄道も見えます。私がピサに行く時に乗った電車はレッジョナーレ(Regionale)っていう普通電車でしたが,これはアルタ・ヴェロチタ(Alta Velocita:通称AV)っていう全席指定の高速鉄道ですね。
そんな風景を見ながら,休憩時間も入れて4時間ほどかけてローマの街に向かうのでした。という事で次回からはローマ編に入ります。続く。
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