前回からだいぶ間隔が空いてしまいましたが，今度はF-PACE Sの内装について紹介します。オーナーとしては手放しでほめたい思いもありますが，内装は決して高級感があるという訳ではないし，よく分からない設計も多いので，ちょっと厳しい表現も多めです。
まずシートですが，Sの標準シートであるグレインレザー＆スエードクロスシートになります。白のダブルステッチと，ヘッドレストのところにSのエンボス加工もあり。スエードの質感は結構いいなと思いますが，革の質感としては比較的普通です。マツダのナッパレザーとかの方がイイかもしれません。
当然パワーシートですが，10ウェイのうち電動で動く部分は8ウェイで最低限で，スイッチも樹脂丸出しでメッキの加飾等はありません。気になる人はオプションのシートを買ってくれという事なのでしょうかね。まあ，私の環境では基本触らないし目にも触れないので別にイイっちゃあイイのですが，BMWとかだと標準でここらへんは押さえていますけどね。
前席はこんな感じ。まず中心に10インチのInControl Touch Proのディスプレイがあります。使い勝手は残念ながらかなりイマイチですが，結構大きくて見た目はイイです。そしてその下にピアノブラックのエアコンのコントロールパネルがあります。ピアノブラックはホコリが目立つので私はあまり好きではありませんが，何でもかんでもタッチパネルからの操作ではなく，エアコンの操作パネルに物理スイッチを残しているのは直感的に操作できて私は好きです。
ステアリングはSバッジ付のソフトグレインレザーで，結構しっとりした手触りの太いステアリングで，握りやすくて私は好きです。そして最近の車では当たり前に付いていて159やRCZにはなかった，ステアリングスイッチがこの車にはちゃんとあります。当然便利なのですが，質感がすごく低い…。押す感じは安い家電みたいだし，イタフラ車によくある経年劣化でベタベタしそうな素材の感じがします。パドルシフトも当然ちゃんと付いてて，アルファの削り出しの大型パドルには質感は劣りますが，こちらは及第点レベルの質感です。
そして，メータはイマドキのフルデジタルの液晶メータ。このフラットパネルなメータがあまり好きではないと以前に書きましたが，意外とこれは乗ってると慣れましたね。慣れればそんなに違和感はないです。いろいろテーマを変えられたりして気分も変えれるし。ただ，ジャガーに関しては，いろいろ設定は変えられるけど本当に表示したい表示にはできないんですけどね…。
エアコンの吹き出し口とかもピアノブラックが基本です。ダッシュボードとか基本触れるところはソフトパッドで，このへんは及第点かと思います。
ちょっと面白いのは普通の車ではシフトレバーがある部分に，シフトダイヤルがあります。エンジンOFFの時は引っ込んでいて触れませんが，エンジンを指導するとニョキッとせり上がって操作できるようなカラクリとなっています。これは初めて見る人には分かりやすいオオッという部分になります。ただ，別に操作しやすい訳ではないし表示もパッと分かりづらい（メータに表示されているから別に問題はない）ですけどね。これも慣れたら操作しづらいという事はないです。操作しやすいという事もないですが。そしてその下にアイドリングストップのON/OFFスイッチやドライブモードの切替スイッチがあります。ドライブモードの切替は私としてはしょっちゅう使うので，前方から視線を落とさなければ操作できないこんなところではなくもっと操作しやすい方法を考えて欲しいですね。といってもどこのメーカもあまり操作しやすい切替スイッチは見た事ありませんが…。アルファのdnaのダイヤル式のシステムが比較的使いやすいと言えば使いやすかったですかね。
そしてシフトダイヤルの両サイドにはちょっとした小物入れのスペースがあります。ちゃんとラバーのマットも敷いてある。これはうれしいですね。こんな小さいスペース何に使うんだとも思いましたが，以外と私の場合は会社の社員証を入れておいたり重宝しています。
電子式のパーキングブレーキをちゃんと採用しており，自動でパーキングブレーキをかけたり解除したりをしてくれるのでこれは使ってみると確かにすごく便利でこれになれると機械式のサイドブレーキがめんどくさくなりますね。ただ，せっかくこの電子パーキングを採用したのにブレーキのオートホールドの機能はありません。最近は皆当たり前のように付いているんだからここは遅れてちゃダメじゃないか？ドリンクホルダーはシャッター付なのはイイけど，ここもピアノブラックなんだよね…。アームレストは大きくてイイけど，その中の小物入れのスペースはちょっと小ぶりだけどまあ十分でしょう。撮るのを忘れましたが中にはUSBの口も2口あって，iPodを繋げたりスマホを充電したりもできます。
Sはペダルもちゃんとアルミです。
コックピットは適度なタイト感があり，広々としたコックピットが好きな人には不評かもしれませんが私としては包まれ感があって好きです。しかしながら，ステアリング右側のエアコン吹き出し口付近が低く出っ張っており，乗り込む際にしょっちゅう足を強打してしまいます。これはダメですね。そしてチラッと見えているチルトやテレスコは手動で，電動はオプションになります。
ドアも手が届くところはすべてソフトな素材を使っており，質感は及第点です。Sはドアトリムはメッシュドアルミニウムのトリムフィニッシャーで，悪くありません。ですがドアのパワーウインドーのスイッチがあるべきところには実はパワーシートのメモリー機能のスイッチやドアロックのスイッチがあります。ドアロックのスイッチはイイにしても，パワーシートのメモリーのスイッチは私は基本触りませんのでここにはいらないのですが…。
そしてパワーウインドーのスイッチはこんなサイドミラーの近くにあります。遠い！これは使っていて慣れても遠くて使いづらいですね。
スピーカーは標準のMeridianの11スピーカー380Wのサウンドシステムです。これは正直大した事ないですね。別に音質は悪くはないですが，普通です。物足りない人は25万弱もするオプションの17スピーカー825Wのサラウンドサウンドシステムもあるので，それを付けなさいという事なのでしょう。
ドアポケットは159やRCZのように使い物にならないものではなく，ちゃんとそこそこ入る実用性のあるものな上，ちゃんとソフトな中敷きも入っています。こういう細かい心配りはイイですね。
そして助手席側。グローブボックスはJAGUARのロゴが彫ってありますが，実はこれ上のレザーの出っ張りでしゃがまないと見えません。カギも掛けられますが，きっと今後も掛けないでしょう。そして開けた写真を撮るのを忘れましたが，159やRCZのように何も入れられない何にも使えないただの飾りのグローブボックスという事はありません。ちゃんと車検証や分厚いマニュアルも入ります。ただしそれだけでお腹いっぱいになってしまってボックスティッシュは入りません。これだけ大きい車なのだからそのくらい入って欲しいですが…仕方がないのでボックスティッシュはドアポケットに入れています。
助手席側にも運転席側と同様のSのスカッフプレート。ドアのスイッチはシートのメモリー以外のスイッチがあります。
後席はこんな感じ。十分な広さがあって非常に快適です。比較対象がおかしいですが今までRCZの後席に乗っていた子供たちからは大好評です。前席の後ろにはちゃんとネットマップポケットもあり。
アームレスト下部にはエアコンの吹き出し口と，シガーソケット1つ，USBコンセント2つがあります。後席のエアコンの操作パネルはオプションです。
後席のドアのパワーウインドーのスイッチは比較的普通の場所です。
後席はスカッフプレートはありませんが，これを見るとドアがすごく厚いんだなって思います。
バックミラーはフレームレスではありませんがちゃんと自動防眩ミラー。ドライブレコーダも前後付けました。そして今回非常にこだわったパノラマサンルーフの操作スイッチもあります。
そしてサンルーフのスクリーンを全閉とした状態。この閉じるスクリーンが薄っぺらくてイマイチなんですよね。もっと分厚いちゃんと断熱してそうな素材にして欲しい。こんなロールスクリーンみたいな薄くてちょっと透けてるのはこのF-PACEで初めて見ました。それよりも写真ではなかなか伝わらないのですが，内装の中で数少ない気に入っている点として，スエードのヘッドライニングがあります。分かりやすく言えば天井や壁のスエードの仕上げ。このサンルーフの部分以外の仕上げなのですが，これがすごく高級感があってイイです。乗り込むと実は床や前方より天井に目が行くし，その時正直息を飲むほどオオッてなります。
そしてサンルーフのスクリーンを全開にした状態。開放感があって最高です！そしてスライディングパノラミックルーフというだけあってちゃんと半分くらいは窓も開けられるのですが，写真を撮るのを忘れました。子供たちの評価も抜群にイイです。
夜のイルミネーションはこんな感じです。ドアにもジャガーのJのシグネチャーの間接照明が点きます。基本的に水色を基調としたこのアンビエントインテリアライティングは実はオプション(12,000円)です。これは個人的には価格の割に満足度が高いオプションだと思うので，ぜひとも付けるべきですね。っていうかこんなの標準装備にすべきだと思います。さらに高額なコンフィギュラブルアンビエントインテリアライティング(60,000円)という照明の色をいろいろ設定できるオプションもあって，それもあったらあったでうれしいですが，比較的早く飽きそうだしどっちでもいいかなと思います。
サイドミラーはこんな感じ。この車はオプションのブラインドスポットアシストという左右後方から車が来ているとLEDでお知らせする機能があり，これは使ってみてもすごく便利だなと思いました。さすがにそれが作動しているところは撮れませんが，ついウッカリやヒヤリがなくなります。
最後に，ラゲッジルームはこんな感じです。高さはそんなにありませんが，車体が大きいだけあってかなり広々としています。最近の車っぽく，後席を倒してフラットにするのもワンタッチで簡単にできます。F-PACEはイマドキ珍しくスペアタイヤを積んでいて，床下の収納スペースはなく，トノカバーをしまったりはできません。なので，床下は開けないし，汚れてもいいようにアクセサリのラゲッジコンパートメントラバーマットを結構高かったけど新しく買って付けました。テールゲートはパワーテールゲートで，これは初めてですが非常に便利ですね。もっと言うならば足のジェスチャーで開閉できるハンズフリーのパワーテールゲートはオプションで付いていなかったのでそれが付いていればもっと便利だったのですけどね。他社はそのへん標準で付いているんですけどね。ジャガーにも頑張って欲しいです。
という事でかなり長くなりましたがジャガー F-PACE Sのインテリアでした。
端的に書くと，スエードのルーフライニングやスライディングパノラミックルーフ，アンビエントインテリアライティングには非常に満足していますが，それ以外については及第点かそれ以下の使い勝手の悪い謎のこだわりの設計も多く，どちらかと言えば不満が多い車です。しかしながら私としてはそこを重視して選んでいないので，そういったポイントを重視して粗探ししてしまうと候補から外れてしまう車と言えるでしょう。ジャガーにはちゃんと他社をベンチマークして改善していって欲しいと思います。
